「アニメのリテラシー」 講演

横浜で行われた図書館総合展フォーラムの「アニメのリテラシー――アニメを映像メディアとして読み解く」という講演に行ってきました。講師は、京都学園大学人間文化学部の有吉末充先生。

講演の前半は、アニメーションの定義、歴史、特徴を、ディズニーなどのアメリカのアニメーションとの比較において、解説して下さり、大変わかりやすかったです。

後半は、さて、図書館におけるアニメーションの位置、アーカイブのセレクションの仕方、使用方法など、図書館関係の参加者が多いフォーラムならではの内容でした。

というのも、おもに公立図書館司書の方々は、子供に良いアニメの基準がわからず、映画DVDと違って、判断に迷うという意見が多いからだそうなのです。

それは大学図書館でも一緒。大学では、学問としてアニメを研究するということになってくると、アーカイブとしてどこまで充実させるか、という問題も浮上してきます。

講演は、とりあえず公立図書館を第一義的に想定し、アートアニメーションの紹介(コ・ホードマンなど)、未就学児童が耐えられる時間のアニメーション(10−15分)、注目されていないが、「上質」アニメの紹介(『電脳コイル』『パンダコパンダ』など)でしめくくられました。

加えて、上映会の奨励、児童向けアニメーションワークショップの開催などの提案も。

これらは、杉並アニメーションミュージアムで実現されているものですが、館長にお話をうかがった時、やはり上映の関係が難しいということをおっしゃっていました。つまり、入場料をとって、アニメを上映すると、上映料を取られる。NHKなどは特にそうらしい。なので、「公共性」という前提をとって、入場料を無料にし、上映をしなければならないそうです。

図書館に漫画やアニメが増えている昨今、リテラシーの問題、アーカイブの問題は、まだまだ長い道のりがあると思います。大学も、アニメやマンガを「研究対象」として真面目に取り上げるのなら、それなりのアーカイブを図書館に持つ必要が出てきますが、はたして週刊マンガまで定期購読できるのか?外国の漫画は?アニメは?

頭の痛い問題です。

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