アニメーション学って何?

アニメーション学とは何か?

「日本が世界に誇る文化」として、政府がにわか力を入れ始めた、アニメーション(アニメ)。外国へ行くと、よく「日本の大学でアニメの研究をしたいが、どこが一番いいのか?」とよく聞かれる。でも、実は日本のアカデミアでは、アニメーション研究に特化した学部は、あまりないのが現状だ。

これから、アニメーションを研究するとは何か?アニメーションとは何か?どのような方法論があるのか?アニメーションを研究することの意義は?など、様々な疑問に対してTV学、カルチュラル・スタディーズ研究者の立場から、皆さんと一緒に考えていきたい。

今日はまず、現在のアニメーション研究をまとめてみたい。

1.アニメーション研究ー理論と実践
アニメーション研究には、大きく分けて2つあると思う。一つはアニメーションの製作とその効果に関する、実践的分野の研究。もう一つは、アニメーションを文化テキストとして、社会、文化、歴史などを考察する理論的分野の研究。なお、コンテンツビジネスとしてのアニメーションについては、のちほど触れることにし、今は割愛させていただく。

A) 実践的分野の研究
a) アニメーション製作研究・・・製作に関して、絵の動かし方、効果の入れ方などを研究するもの。大学の芸術学部で行われることが多い。
b) アニメーションの効果研究・・・アニメーションの動きを分析し、それによる心理的効果を研究する。大学の心理学部で行われることが多い。

B) 理論的分野の研究
a) アニメーション史研究・・・アニメーションの歴史を研究する、実証主義的研究。
b) アニメーションのテキスト研究・・・アニメの作品(映画、TV番組)のストーリーを、小説のように一つのテキストとして読み、分析、解釈する研究。この中には、文化人類学的考察、作家論、文化論、社会反映論などが含まれる。大学の文学部で行われることが多い。
c) アニメーションと視聴者研究・・・アニメーションとそれを観るオーディエンスの研究。アニメ作品のテキスト分析と、オーディエンスの反応を比較考察して、作品がどう受け入れられ、消費され、循環されるかを研究するもの。大学の社会学部で行われることが多い。

非常に大雑把に分類したが、例えば、マンガとアニメの比較考察、BGM・声優などの音考察、アニメ関連グッズ、メディアミックスなどのメディア考察なども、分野を横断して行われている。したがって、カテゴリー化はあまり意味をなさないかもしれない。けれども、大雑把にアニメ研究の現状を把握していただくために、便宜上の分類を行った。

これから、Bの理論的分野の研究について、現状の紹介、問題点、これからの課題などを考えていきたい。

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