研究ノート ヒーローの条件

『ヒーローの条件」

さて、くだんの類型化を何故せっせとやっていたか、の理由へとつながります。

というのも、世界で人気がでる作品には共通項がある、という「いまさら・・」という定説の裏にあるものをもう一度探って見たいという思いがあるのです。(本当は崩したいという願望も)

でも、ハリポタ、ナルト、ブリーチはほとんど共通項があり、ワンピースもほぼ共通するものがありました。少年向けアニメの人気のあるもののみで検証してみましたが、だいたい当てはまる項目だと思います。

そのうち、今日は人物設定。正統性のある主人公の出自。これはいったいなんなのか??? 

主人公は、ある種親の愛情に恵まれていなかったり、どこか社会からつまはじきにされ、酷い場合には苛めの対象にもなっているわけです。

そんな主人公が、自らの力に目覚め、あるいは目覚めさせられて、「実は王子様(特別な存在)だった」という「みながアッと驚く」出生の秘密を持っていたことがわかってくるわけです。

これは、少女向けのアニメ(魔法少女は特に)にも言えたりするのですが、読み手がどこかで「特別な高貴な存在」を欲望していたりするわけです。裏を返せば、「庶民、平民、フツーの子」が正体も「庶民、平民、フツー」で、非常に稀有な力を発揮するということは、ある意味「危険」なのかもしれません。

考えられるのは、封建社会で生まれた物語(の原型)は、秘密の出自(実は高貴な生まれ)があるほうが、社会システムの転覆の契機を引き込まずにすむから。こんな政治的理由と、人間の深層心理の中に、ヒーローは特別であり、自分があこがれて、同一化したい時は、自己実現になり、同一化しない時は、自分との差異を認めて、自分の劣等感を納得させる理由にできるから、という心理的理由もあるのかもしれません。

すでにこんなことは言い古されているとは思いますが、ではどうして、こういうものが今多いのか?しかもアニメに。これは結構言われていそうで言われていない側面かもしれません。

物語の構造分析

物語の構造分析

物語の構造分析 [ ロラン・バルト ]
参考資料。バルトの小説論、映画論は必読です。